皆さんこんにちは。医師で投資家のジョーです。
今回は久々の『順張り株式投資日記』です。
前回ブライダル事業を展開するブラス(2424)が決算直後に暴落し、断腸の思いで損切りしてからは市場が不安定なこともあり、なかなか順張り投資条件に一致する銘柄がなく投資できていませんでした。
なお前回ブラスを損切りした経緯については以下の記事をご覧ください。
そして今回ついに順張り投資の条件に適した銘柄が見つかったため約1か月ぶりに新規で購入しました。
その銘柄は各地域で「家族葬」をメインに葬儀事業をドミナント展開しているきずなホールディングス(7086)です。
今回はきずなHDに投資しようと決意した理由などをメインにお話していこうと思います。
なお僕が順張り株式投資を始めた経緯やトレードルールについては以下の記事で詳しく説明しているのでまだ読んでいない方は合わせて読んでください。
それではよろしくお願いします。
目次
きずなHD(7086)の事業内容と過去の業績
会社概要と事業内容
きずなHDは2017年設立、2020年に東証グロース市場に上昇した比較的新しい会社で時価総額は2023/4/14時点で約90億円です。
事業内容としては1日1組限定の家族葬を北海道や千葉、愛知県などをメインに日本各地で展開している葬儀関連銘柄となります。
高齢化社会において2040年までは国内の死者数は増加する一方で、近年は葬儀の簡略化や低価格ニーズの強まりから葬儀単価は下落基調となっています。
そんな中きずなHDは従来行われている大人数での一般葬ではなく親族やごく親しい友人・知人のみで行う『家族葬』をメインに今日まで業績を伸ばしてきています。
よって葬儀参列者も一般葬儀と比べると少なく(50名以下がほとんど)、葬儀単価自体が安く抑えられるということが他社との差別化につながり人気が出ている模様です。
さらには普通の家族葬のみならず、オーダーメイド型で単価の高いオリジナルプランを選ぶ顧客が増えてきていることも業績上昇に寄与しています。
では次にきずなHDの業績推移を見ていきましょう。
これまでの業績
まずは過去の売上高と営業利益の推移です。
(引用:マネックス銘柄スカウター)
売上は毎年増収で営業利益については2020年は減益となったものの、その後は順調に増益しています。
そして今年度は売上高102億円(前年比+10%)、営業利益12億円(前年比+13.7%)、純利益6.6憶円(前年比+10.4%)と2桁増収増益予想です。
あとで後述しますが先日(2023/4/14)発表された第3四半期決算では概ね通期会社予想通りに業績を達成しています。
次に過去と今期業績(予想)の数値です。
2020、21年度はコロナ禍の影響もあり成長鈍化の傾向ではあったものの、昨年そして今年後は2桁増収増益予想で、営業利益率も上昇傾向で10%以上維持する予測です。
株価情報と四季報予想から算出した理論株価
株価情報
以下が現在(202/4/14時点)の株価情報です。
- 時価総額:90.2憶円
- 株価:1307円
- PER:13.7倍
- PBR:1.78倍
- 配当金:0円
時価総額は100憶円以下の小型株で、先述の通り2桁増収増益で営業利益率が10%を超えている会社でPER13倍は体感的には割安な印象をうけます。
ただ同職種である平安レイサービス(2344,時価総額90.6億円)はPER9.5倍、ティア(2485,時価総額97.9億円)はPER13.8倍などと比較すると特別割安感があるわけでもありません。
葬儀業界に対する投資家の期待度があまり高くないことは認識する必要があると思います。
ただ次に示す会社四季報や会社が示している中期経営計画目標、そして独自で算出した理論株価の結果から十分に投資醍醐味があると判断し今回投資する決断に至りました。
では次に実際の会社四季報予想とそれをもとにした理論株価の算出を行っていきます。
なお詳しい理論株価の算出方法については以下の記事で説明しているので良ければ合わせて読んでください。
会社四季報予想と中期経営計画について
以下が四季報予想となります。
四季報の予想だと今期来期にかけて売上高が平均14%、営業利益が平均で22.5%、純利益
が平均で23%増加すると予想され、営業利益率も11.6→12→13.3%と年を重ねるごとに利益率は上昇する予定です。
この数字はきずなHD自体が発表している中期経営計画の目標数字とほぼ一致しています。
以下がきずなHDが提示している中期経営計画目標になります。
(引用:きずなホールディングス第3四半期決算説明資料より抜粋)
2025年度にはホール数172店舗(2023年3月時点で125店舗)、売上高134億円、純利益10億円を目標としており予想通り進めば来期以降は特に成長が加速することになります。
では、これらの数字を踏まえた上できずなHDの理論株価の算定をしていきます。
きずなHDの理論株価
会社四季報予想をもとに理論株価算出に必要な要素が以下の通りです。
- 予想EPS:113円
- 平均営業利益増加率:22%
- 過去のPERからみた期待できるPER1:18倍
- 増益率から算出した期待できるPER2:22倍
(基準PER12倍として3年先までの成長を折り込んだと仮定)
よって上記数字から算出される理論株価は以下の通りです。
理論株価1:113×18=2034円
理論株価2:113×22=2486円
現在の株価が1300円ほどなのでうまくいけば2倍近くの株価の上昇が見込まれます。
それではこれらの将来の成長予想や理論株価を踏まえた上で、今回僕がきずなHDに投資を行う決断をした理由についてお話しします。
きずなHDに投資を行う決意をしたポイント
今回僕がきずなHDに投資する決心をしたポイントは以下の3点です。
- 月次の葬儀単価が2ヶ月連続で前年同月比を上回った
- 第3四半期決算が会社予想通りの内容であった
- チャートが上昇トレンド
月次報告で葬儀単価が上昇
きずなHDは売上の9割以上が葬儀場運営からになります。
よって売上を上げるためには以下の2つの要素が重要です。
- 葬儀件数
- 葬儀単価
この2つの掛け算がほぼ売上みたいなものなので、この2つの動向は超重要です。
葬儀件数については店舗を順調に拡大しているので多くなるのは当然です。以下のグラフが葬儀件数の推移となります。
(引用:きずなホールディングス第3四半期決算説明資料より抜粋)
不謹慎な発言で申し訳ないですが、死者数は夏よりも冬に多くなる傾向があるので葬儀件数は1Qは少なく3Qに多くなる傾向があります。
ただ見ての通り全体的には葬儀件数は増加傾向です。
問題は葬儀単価です。
実はコロナ禍以降、密を避ける傾向や参列客の減少などもあり葬儀単価の伸びがよくなかったのです。
その影響できずなHDの株価推移もしばらく軟調を続けており、なかなか上場来高値更新もできていませんでした。
ただ最近はコロナの規制も緩和されたことで徐々に葬儀単価が上昇してきています。
(引用:きずなホールディングス第3四半期決算説明資料より抜粋)
今年の2月より急激に葬儀単価が上昇しているのがわかります。
上記資料は2023/4/14に提示された第3四半期決算資料から抜粋したものですが、実はこの数字は決算前に入手することができます。
それが会社が毎月提示している『月次報告書』です。
この月次報告書では葬儀売上・葬儀件数・葬儀単価・ホール数が毎月報告されるので売上については決算発表を待たずにある程度推測することができます。
なので自分の投資している銘柄で月次報告を行っている会社がある場合は必ずチェックすることをおすすめします。
(決算ではなくても月次の数字が良かっただけで株価が上がることはよくあります)
以下が2023/4/11に発表された3月の月次報告書です。
注目すべきは2ヶ月連続で葬儀単価が前年度を超えている(100%以上)ことです。
(引用:きずなホールディングス2023年度月次報告書より抜粋)
見ての通り1月までは前年よりも葬儀単価が低かったものの、2月より急激に改善しています。
葬儀単価の上昇が1ヶ月のみであればたまたま良かった可能性がありますが、2ヶ月連続となるとかなり信憑性の高い証拠になリます。
客単価上昇は単に売上だけでなく、営業利益や利益率の増加も期待できるので僕はこの月次の数字を見た翌日の4/12に平均取得単価1260円で600株新規購入しました。
この時点では資金の40%も入れていませんが、4/14に第3四半期決算が待ち構えていたため決算で利益が通期予想通りに増加していれば追加で投資する方針としました。
第3四半期決算内容が会社予想通りの内容であった
以下が第3四半期と第2四半期の決算内容です。
(カッコ内の数字は通期予想に対する進捗率)
【第3四半期決算】
売上高78億円(進捗76%)
営業利益9.4億円(進捗77%)
純利益5.2億円(進捗78%)
【第2四半期決算】
売上高47億円(進捗46%)
営業利益4.5億円(進捗36%)
純利益2.3億円(進捗34%)
一般的に第2四半期であれば50%、第3四半期であれば75%が通期予想に対する進捗率の合格ラインです。
(厳密に言えばこの会社は冬に売上が上がる季節性銘柄なので第2四半期は低めに出ます。その場合は前期の進捗状況と比較するのをお勧めします)
見ての通り第2四半期では利益の進捗状況が良くなかったものの、第3四半期は利益の方の進捗率も良い結果となっているのがわかります。
僕はこの決算内容を見て、かなり高い確率で会社の通期予想や四季報予想が達成できるのではと判断しました。
実は決算発表後の4/17に一時ストップ高まで株価は上がりましたが、それでも僕が目標としている理論株価2000円に比べると安い水準に変わりなかったため4/17に株価1546円のことろで追加の200株を購入しました。
チャートが上昇トレンドを形成している
この『順張り株式投資日記』は上昇トレンドになっている株に投資を行うことが本来の趣旨なのでこの条件は絶対です。
以下がきずなHDの週足と日足チャートです。
(引用:株探、きずなHD週足チャート)
(引用:株探、きずなHD日足チャート)
日足チャートでは今までレンジ相場であったチャートが今年の3月に入ってから上昇しているのが確認できます。
週足チャートも日足ほど綺麗な上昇トレンドではありませんが、昨年7月から800〜1200円で推移していた株価が上振れてきているのがわかりますね。
2022年7月の高値を超えてきているのも評価できます。
よってチャートも上昇トレンドを形成しているため投資適格と判断しました。
損切りラインと今後の方針
4/12と4/17に株を購入したため、現在の平均取得単価と保有株数は以下の通りとなりました。
- 平均取得単価:1333円
- 保有株数:800株
理論株価が2000円ほどなので取得金額は1600円ぐらいまでがリターンのことを考えると限界かなと思ってます。
よって今後上昇するのであればこれ以上の買い増しは難しいかもしれませんが、もし今後株価が下がるようであればトレンドラインや移動平均線などを見て追加購入を検討していきたいです。
また損切りラインについては前回の抵抗線が1200円ぐらいにあるので、少し余裕を持たせて1170円を損切りラインとします。
1170円であれば最大損失は13万円ほどなので証券口座資産の10%以下でありリスク管理としても問題ない金額だと判断しました。
もちろん来月の月次報告が明らかに悪化していたり、株価がさらに伸びた場合は現在決めた損切りラインまで待つことなく利益確定もしくは損切りラインを上げることはありえます。
特に業績面で変化がなければ株価2000円をまずは目標として保有を継続する方針です。
まとめ
今回は1ヶ月ぶりに『順張り株式投資日記』で新期投資を行ったきずなHD(7086)について業績と僕が投資すると決断した理由についてお話ししました。
正直目標株価まで到達できるかは今後の月次や決算次第ではありますが、少なくとも直近の決算内容を見る限りでは十分に四季報や会社予想を達成できるポテンシャルはあるのかなと認識しています。
株式投資に絶対はないので投資は自己判断にはなりますが、今回の記事が皆さんの投資判断の参考になれば嬉しいです。
順張り株式投資日記の運用成績についてはまた5月に入り次第報告します。
今後日本株は続々と本決算と来季の会社予想が発表されるので、もしいい銘柄があればこのブログ内で紹介したり、買い付け余力も残っているのでいい銘柄があれば順張り株式投資日記銘柄として実際に投資するかもしれないので、引き続き当ブログを読んできただけるとありがたいです!
では今回は以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!