投資方法

株価の割安度を判断する方法を解説(理論株価の算出方法1)

皆さんこんにちは。医師で投資家のジョーです。

今回は株式投資を行う上で極めて重要な理論株価の算出方法についてお話します。

株の基本的な原則は『安い株価で買って、高い株価で売り抜ける』ことです。

しかし現在の株価が本当に安いのか高いのかを判断するのは思った以上に難しいことかもしれません。

そこで株式の取引判断の一つとして、『理論株価』という概念が役立ちます。

理論株価を独自で予想することで、現在の株価が割安かどうかを評価することができるようになるからです。

今回の『理論株価の算出方法』は2回の記事に分けて紹介します。

今回の記事では、理論株価を算出することの意義と、その計算方法について詳しくご紹介します。ご期待ください!

今回は理論株価の計算方法について紹介しますが、株価が上昇する要因については以下の記事で詳しく説明しているので併せて読んでみてください。

 

株価を因数分解してみた!これで株価の本質を理解しよう【その他記事】皆さんこにちは。医師で投資家のジョーです。 今回は少し変わった話をします。 ところで皆さん。 株価ってどうやって形成さ...

 

それではよろしくお願いします。

 

なぜ理論株価を算出することが重要なのか?

 

まずは理論株価を算出することの意義についてお話します。

理論株価を算出することが重要な理由は大きく2つあります。

 

  1. 今の株価が割安なのか割高なのかを判断する
  2. 理論株価は売却時の判断材料になる

 

それでは1つずつ見ていきましょう。

今の株価が割安なのか割高なのかを判断する

 

まず、理論株価は現在の株価が適正かどうかを評価する判断材料となります。

ここでの「割安」とは、現在の株価よりも将来の株価が高くなる可能性が高いことを指します。

たとえば、現在の株価が1000円で理論株価が2000円であれば、それは割安と判断し株を購入することで2倍の利益が期待できる可能性があります。

逆に、理論株価が500円であれば株価が半分になる可能性があるので、現在の株価は割高と判断します。

このように理論株価と現在株価を比較することで今の株価を客観的に評価することができます。

 

理論株価は売却時の判断材料になる

 

株式投資は株式を買うタイミングによって大きく成績が異なるので、買うタイミングは重要です。

ただ買うタイミングは株価の割安感やチャート形状などで慣れるとある程度判断できるようになります。

一方で株を売るタイミング、特に利益が出ている時の「利益確定売り」の判断は非常に難しいです。僕は今でも迷います。

株式投資の世界では「損小利大」という言葉がよく使われます。

これは、含み益がある場合にできるだけ利益を伸ばすことがパフォーマンス向上に繋がるという考え方です。

しかし、感情に左右されて少し利益がでたら売却してしまう投資家さんも多いのではないでしょうか。

人間は感情に左右される生き物です。

そこであらかじめ理論株価を算出することで、株価を理論株価近くまで保有し、最終的な売却の判断を感情に流されることなく慎重に行うことができるようになります。

これにより、株価の上昇益を最大限に引き出すことが可能となります。

 

以上が理論株価を算出する大きな理由となります。

では次に、理論株価の算出方法について詳しく紹介していきます。

 

理論株価はたった1つの方程式で算出できる!

 

理論株価の算出方法は以下の方程式になります。

 

理論株価=将来の1株あたりの純利益(予想EPS)×期待される株価収益率(予想PER)

 

えっ!?たったこれだけ!?

 

と思われるかもしれませんが、実際にはそうなんです。

この1つの方程式だけで理論株価を算出することができるのです!簡単だとは思いませんか?

ですので、みなさんもこの記事を読んだ後にぜひ実践してみてください。

それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。

将来の1株あたりの純利益(予想EPS)

 

まずは将来の1株あたりの純利益(予想EPS)についてお話しします。

1株あたり純利益(以下EPS)とは会社の純利益を発行済み株式数で割ったものです。

例えばある企業の純利益が1億円で、発行済み株式が1000万株ある場合、EPSは10円になります。

このEPSは投資家にとって非常に重要な株式指標の一つであり、EPSが年々増加傾向にある企業は成長性が高く、株価も上昇傾向にあることが多いです。

さらに株価は将来の業績予想を織り込んで変動するものなので、理論株価を算出する際に使うEPSは将来予想されるEPS(以下予想EPS)を使用します。

その予想EPSを確認する方法は主に2つあります。

 

  1. 会社の決算短信などをチェックする
  2. 会社四季報で調べる

 

決算短信などをチェックする

 

決算短信とは1年に4回、決算時期に企業から提供される決算資料です。

この決算短信は企業の公式ウェブサイトから入手できます。

そして決算短信の最初のページ(場合によっては2ページ目)には今年度の業績予想が記載されており、そこで今期の予想EPSを確認することができます。

具体的な例としてトヨタ自動車(証券コード: 7203)の2024年度第1四半期の決算短信から、今期の予想EPSがどこに記載されているかを確認しましょう。

 

(引用:トヨタ自動車2024年度第1四半期決算短信1枚目より)

 

決算短信ってなんだか難しそうで、めんどくさい…

 

そんな方におすすめなのが、株式投資の総合ポータルサイトである『株探』を活用する方法です。

『株探』は株式投資に役立つ情報が豊富に揃っており、使い勝手も抜群です。

下記の記事では『株探』の便利な使い方について詳しく紹介しています。

 

まずはこれを使おう!無料で使える株式投資で有用なサイト3選(前編)【投資初心者、分析方法】 皆さんこんにちは。医師で投資家のジョーです。 今回は普段株式投資を行う際に僕が良く使用する無料ツールについてお話します。 ...

 

そして以下が『株探』の公式サイトへのリンクです。

 

株探の公式サイト

 

株探を使って今期の会社の予想EPSを調べる方法は非常に簡単です。

以下のステップで調べることができます。

 

  1. 検索窓に調べたい会社名または銘柄コードを入力する
  2. 「決算」タグをクリックする
  3. 「業績推移」の欄に移動し、今期の修正1株益を確認する

 

実際の株探の画面だと以下の場所に書いてあります。

 


(引用:株探)

 

決算短信で調べるのがめんどくさい人は株探で調べるのもありだと思います。

 

しかし会社によっては業績予想を開示していないこともたまにあるので、この時は次の会社四季報を使って確認します。

 

会社四季報で確認する

 

会社四季報は東洋経済社が全上場銘柄の業績を独自で予想している書籍(電子版も利用可能)で年に4回発行されています。

会社四季報の最も素晴らしい点は、今期だけではなく来期の業績予想も示してくれることです。

株価は未来の業績を反映する性質があるので、僕は今期だけでなく来期までの予想も提供している『四季報予想』を積極的に利用しています。

四季報では今期の予想EPSと来期の予想EPSが提示されているので、僕が理論株価を算出する際に使用している予想EPSはそれらの中間値を採用しています。

 

予想EPS=(今期予想EPS+来期予想EPS)/2

 

このEPSを使用すれば2年先までのEPS予想を考慮した値になるので、長期投資目的としては役に立つと思います。

 

では実際の会社四季報を見てみましょう。

トヨタ自動車の会社四季報の今期と来期のEPSは以下の場所に記載されています。

 


(引用:会社四季報2023年3集より)

 

以上が予想EPSを確認する方法となります。

 

まとめ

 

今回は理論株価の重要性と予想EPSの計算方法についてお話ししました。

株式投資においては感情に振り回されずに客観的な評価で判断することが非常に重要です。

そのための方法の1つとして、理論株価を計算することで客観的なデータをもとに投資判断を行うスキルを身につけることがあります。

次回のテーマは理論株価を算出する際に必要なもう1つの要素である『予想PER』についてです。

PERは会社の業績ではなく、投資家の期待度を表す指標なのでEPSと比べてやや抽象的な指標ですが、過去の株価動向や将来の利益成長率をもとに算出する方法を詳しく説明します。

今回の記事は以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。