みなさんこんにちは。医師で投資家のジョーです。
本日は株式投資において永遠のテーマである『順張り投資・逆張り投資』についてお話します。
まさに賃貸vs持ち家論争ぐらい難しい問題ですよね笑
株式投資ではよく『株は安く買って高く売れ』と言われる一方で『損切りは徹底しろ(安値で売却する)』とも言われます。
特に株式投資を始めたばかりの人はすごく矛盾に感じるのではないでしょうか?
僕も投資を始めた頃は矛盾してるなと思っていました。
そこで今回は個人投資家の観点から順張り・逆張り投資のメリットやデメリットについて僕の意見を述べていきます。
僕の結論は『投資する前に順張りで入るのか逆張りで入るのかをあらかじめ決めておく』が一番の正解だと思います。
順張り・逆張り共にメリットとデメリットがあるのでそれぞれの状況下で使い分けることがいいのではないでしょうか。
投資を行う前に順張り投資を行うのか逆張りで投資するのかを決めておくことで、自分のルール設定も行いやすくなり、無駄な感情なく株式投資を行うことができるようになります。
株式投資にとって『感情』や『願望』ほど無駄なものはないですからね笑
今回の記事は以下の悩みがある方には特にお勧めします!
- 自分の投資手法が確立していない
- 下落時にナンピンするがその後少しプラスになっただけで利益確定してしまう
- 上昇している株を買うことができず大相場に乗ることができない
- 損切りができない(塩漬け株が多い)
- JOEの考えを知りたい(調子に乗ってすいません笑)
今回の記事を読んで少しでも皆さんの投資の参考になれば嬉しいです。
それではよろしくお願いします。
目次
順張りで投資する際に知っておきたいこと
まずは順張り投資です。
先に順張り投資のメリットとデメリットを示します。
- トレンドに沿った取引なので短期間で利益が出やすく、資金回転率が良い
- トレンドが崩れたら損切りするので大きく負けない
- 損切り設定も比較的容易
- ナンピンしないので塩漬け株になることがない(資金拘束が少ない)
- 平均取得単価が高い
- 利益確定ラインの設定次第では利益が少なくなる
- テクニカル分析は必須
- 損切りできない人は大損失を被る可能性が高い
では詳しく見ていきましょう。
短期間で利益が得やすく資金回転率が良い
順張り投資の一番のメリットとして資金回転率が良くなることにより短期間で利益を得られることが挙げられます。
基本的には上昇している時しか投資していないので当然と言えば当然ですよね。
典型的な例として2020−2021年のコロナバブルで大躍進した医師向けサイトを運用しているエムスリー(2413)を紹介します。
2020年初頭にコロナウイルスが世界を驚愕させた時に株式市場は大幅下落となりました。
実社会でもアメリカを中心としたロックダウンにより経済活動も完全に麻痺し、まさにリーマンショック以来の大混乱の状況でした。
ただその後アメリカのFRBによる異次元の金融緩和にて状況が一変します。
超低金利政策によるバリュエーション(PER)の上昇が許容されたのとコロナ禍におけるエムスリーの事業業態が好感され以下の通り株価は上昇しました。
【エムスリー日足チャート】
エムスリーは2020/3/13の安値2319円から2021/1/8の高値10675円まで約10ヶ月間で株価約4.6倍にまで上昇しました。
もちろんコロナショックの底で買って天井で売るような神業などまずできません。
でももしトレンドを見極めて順張りで投資した場合はどうでしょう。
例えば75日移動平均線を超えたところでエントリーし75日移動平均線を割ったところで利益確定すると決めて投資したとします
チャートだと以下のポイントです。
エントリーポイント:3195円(2020/3/31終値)
利益確定ポイント:8633円(2021/2/4終値)
このように75日移動平均線を指標にして順張り投資を行った場合でも約10ヶ月で株価は3195円から8633円と2.7倍の値上がり益を得ることができています。
まさに有名な投資格言である『株価の頭と尻尾はくれてやれ』ですね。
もちろんエムスリーの事例はチャンピョンケースなので、全ての株がこのように短期間で数倍の利益が取れることはあり得ません。
むしる順張り投資で1年で2倍以上の利益を取れることの方が稀です。
ただそれでももし10回順張り投資をして1回でもエムスリーのような株に出会えることができたら、残りの9回が利益が少ないもしくは損失が出たとしても十分にトータルのパフォーマンスは向上するでしょう。
また順張り投資はトレンドが変わった時点で売買を行うので、上昇している(含み益が出ている)株は保有期間が長くなり、下落している(含み損がある)株はすぐに損切りすることになるので相対的に逆張り投資と比べると投資効率は良くなります。
大きな損失がでにくく、損切りラインの設定もしやすい。投資手法上ナンピンすることがない
2020-2021年にかけて大幅上昇したエムスリーですがその後どうなったと思いますか?
以下のチャートが最高値をつけた後のエムスリーの日足チャートです。
【エムスリー日足チャート】
見ての通りチャートは完全に下落トレンドとなりました。
この状況下で安くなったと判断して逆張りでナンピンを繰り返した場合、かなりの損失が生じていることは容易に想像がつきますよね。
(ちなみにエムスリーは2023年に株価3000円を切るまで下落を続けています)
ただこのチャートで仮に高い株価でエントリーをしたとしても、順張り投資を意識して各種移動平均線やトレンドラインで損切りを設定していれば損失は最小限に抑えることができます。
例えば2021/2/4にローソク足が75日移動平均線を下に割ったあと、再度75日移動平均線を下から上に突き抜けている場面がいくつかあります。
その時に再度上昇トレンドに転じたと判断してエントリーしたとしても、その後75日移動平均線を下回ったところでしっかり利益確定・損切りを行えていればそこまで損失が拡大することはまずありえません。
さらに指標としている移動平均線が上向きであればさらに損失を出す可能性は低くなります。
(これは25日移動平均線を指標に売買したとしても同様のことが言えます)
このように
- 移動平均線やトレンドラインを指標に順張り投資をする
- 移動平均線やトレンドラインが下向きになっていない
を自分のルールとして設けてトレードをを行うことで、損切りラインが明確になり損失を最小化できること、さらには利益が乗って買い増しすることはあっても損を拡大させるナンピン地獄の沼にハマることがなくなるのも順張り投資の大きなメリットです。
順張りのデメリットについて
そんな順張り投資ですがもちろん欠点もあります。
まずあげられるのが上がっている銘柄に投資するので逆張りと比較して株の平均取得単価が高くなることです。
さらにトレンドラインや移動平均線などを指標に投資をするので、利益確定や損切りの設定値次第では、売却したポイントが下落の底でその後再度上昇することがありえます(いわゆる”だまし”というものです)。
よって先述したエムスリーみたいに順張り投資では1回の売買で大きな利益を取れることは稀です。
基本的には逆張り投資と比較すると取得価格が高くなることと、保有期間が短くなる傾向にあるので1回の売買で取れる利益幅は少なくなる傾向にあります。
最後に最も重要なことはテクニカル指標をもとに売買する必要があることです。
なぜなら順張りは平均取得価格が高くなるので、もしトレンドが崩れても保有を継続した場合とてつもなく大きな損失につながるからです。
もし順張り投資をするのであればテクニカル上の損切りラインの設定は必須です。これだけは絶対に徹底しましょう。
なお以下の記事では初心者でも実践できるテクニカル分析について詳しく説明しているので併せて読んでいただければ嬉しいです。
基本的に勢いがあって上昇している株は指標的には割高な傾向にあります。
そしてそういう株はいずれ下落します(割高なので)。
ちなみにエムスリーは株価が最高潮であった時のPERは100倍を超えていました。
そういう株はいずれどこかで下がるので、順張り投資では業績ではなく必ずテクニカル分析で利益確定ラインと損切りラインを決めるようにしましょう。
そう思われる方は順張り投資ではなく次に説明する逆張り投資をお勧めします。
逆張りで投資する際に知っておきたいこと
次に逆張り投資です。
逆張り投資は基本的に順張りの逆の手法になるのでメリット・デメリットは以下のようになります。
- 平均取得価格が安くなる傾向にある
- 上昇トレンドに転じれば大きなリターンを得ることができる
- ファンダメンタルズ分析のみでも何とかなる
- 資金拘束リスクが高い(塩漬け状態)
- 自分のシナリオが外れた場合(企業業績悪化など)大きな損失を出す可能性がある
- ナンピン地獄に陥りやすい心理状況になる
では詳しく見ていきましょう。
逆張り投資のメリット
まず大前提として逆張り投資に最も向いている株ってどのような株だと皆さんは思いますか?
僕は以下の2つだと思います。
- 割安成長株で数年単位で保有したいと思える株
- 配当金目的の株(高配当株投資)
逆張りで大事なキーワードは『割安』です。
長期で保有してもいい割安成長株であれば指標的に割安になったところで時間分散させながら株をコツコツ買い増しすることで、いざ上昇トレンドになって指標的にも評価された(PERが上がった)場合は順張り投資以上の利益を得られる可能性が高いです。
また配当金目当ての高配当株についても利回りが高い方がメリットは大きいので基本的に逆張り(株価が下がることで利回りが上がった時)で購入する方がいいでしょう。
逆張り投資の一番のメリットは株価の平均取得価格が下がることです。
特に企業業績は変わらないのに外的要因によって株価が下がった場合などは逆張り投資家にとっては絶好の買い増しポイントになります。
また順張りと異なり逆張りではファンダメンタル分析を行った上で割安だと思う株に投資をすることになるので、順張りほどテクニカル分析を行ったり明確な損切りラインを設定しない(自分のリスク許容度の範囲で設定する)こともあります。
基本的には企業業績シナリオが崩れない限り下落したとしても損切りはせずにむしろ買い増し(ナンピン)をする投資家さんも多いのではないでしょうか。
まさに逆張り投資は『安く買って高く売る』株式投資の基本的な戦術とも言えますね。
時間はかかるかもしれませんが業績の良い会社は仮に今株価が評価されていなくてもいずれ上がる可能性が高いです。
このよう逆張り投資を行うにあたって企業が成長していることと株価が指標的に割安になっていることが絶対条件です。
以下の記事では割安成長株を見つけるのに役立つ『理論株価』の求め方を詳しく説明しているので併せて読んでもらえると嬉しいです。
一方で逆張り投資にも大きなデメリットがあります。
逆張り投資のデメリット
まず逆張り投資の一番のリスクは『資金拘束リスク』です。
逆張りは株価が下がっている時に株を買い増していく手法なので損切りしない限り株価が上昇に転じるまでは売れない(売っても利益が出ない)ことになります。
皆さんも体感的に経験があると思いますが、下がっている株って中々上がらないんですよね笑
それが1年ならまだしも酷い株だと業績がいいのに数年単位で株価が上がらないこともあります。
そうなるとその期間に投資した金額は完全に『死金』です。
一方順張りであればそのような資金拘束になるリスクはかなり低く、保有期間が長いということは上昇トレンドが継続している(含み益が増えている)ことになるので死金になるリスクはかなり低いです。
なので資金回転率の面では順張り投資に軍配があります。
あともう一つ大きなデメリットがあります。
それは自分の描いていた企業シナリオが大きく外れた場合に大きな損失を被る可能性があるということです。
自分がいい企業だと思って投資し続けたものの株価はずっと下落。
そこで割安と判断してナンピンを繰り返して、その後企業の大幅な業績の下方修正などが起きてさらに株価が下落。
業績も悪化したため指標的にも割安とは言えない状況となり、当初のシナリオが崩れたので泣く泣く損切り。
これ僕もめっちゃ経験しました。
そうなんです。逆張り投資の大前提として、自分の思い描いていた企業業績が継続することが必要なのです。
もし自分の判断を過信しすぎて下落している株をナンピンしすぎると大きな損失を被る可能性があるのでそこは十分自分のリスク許容度に準じた投資を行う必要があります。
逆張り投資は順張り投資以上にファンダメンタル分析の精度が求められます。
逆張り投資で保有継続が許されるのは将来の企業業績の展望が変わらないかつ割安である場合のみです。
ただそれでも株式投資に絶対はありません。
そして下落し続けている株は何かしらの下落している理由があるので、その下落している理由を理解した上で保有継続やナンピンを行いましょう。
もし下落している理由がわからないのであれば個人的には損失拡大する前にポジションを手仕舞うもしくは一部損切りすることをお勧めします。
JOEの順張り・逆張りの使い分けについて
順張り・逆張り投資はそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが良いというものではありません。
それを踏まえた上でここからは僕の個人的見解に基づいた順張り・逆張り投資の使い分けについてお話しします。
僕の順張り・逆張り投資を行う場面は以下の通りです。
〈順張り投資を行う場面〉
- 企業業績が良く、株価も上昇トレンドを形成している株に短中期目線(四半期〜1年ほど)で投資を行う場合
〈逆張り投資を行う場面〉
- 数年単位の長期目線で企業の成長に投資したいと思える株
- 配当目的の高配当株投資
僕は基本的に長期目線の投資と短中期目線の投資の両方を行うスタンスです。
もし自分の株に対する千里眼が完璧であれば迷わず長期投資一択がベストなのですが、どれだけ将来有望だと思った株でも100%自分の思い通りに企業が成長するとは限らないというのが僕の考えです。
要するに1年先の企業業績よりも5年先の企業業績の方が圧倒的に不確実なのが株式投資だと思っています。
上記のことから当たればリターンは大きいものの長期業績の不確実性とその間の資金拘束リスクを補うために逆張り投資だけではなく短中期目線での順張り投資も取り入れるようにしています。
短中期の順張り投資であれば一回の利益はそこまで大きくはありませんが、損失額は限定的で資金拘束リスクもあまりないので投資のリスクとしては長期投資と比べると低いです。
また今日の日本相場自体が絶好調な相場環境であれば順張り投資でも大きなリターンを短期間で得ることも可能です。
このように長期と短期、そして順張り・逆張り手法をうまく組み合わせて、自分に最適なリスク許容の範囲内でリターンを最大化することができるのではないかと僕は思います。
なお僕は元々逆張りメインの投資を行なっていましたが、今年からは積極的に順張り投資を取り入れています。
このブログでは元本200万円をもとに実際に僕が気になった成長株に短中期目線で順張り投資している『順張り株式投資日記』を発信しており、月1回ほど運用報告もしています。
あまり順張り投資をしたことがない人は特に参考になると思うので読んでくれると嬉しいです。
まとめ
今回は投資手法の永遠のテーマである『順張り投資・逆張り投資』の方法についてお話しました。
どちらも一長一短ですのでどちらの手法の方が良いということはありません。
個人的には順張り投資は”守りの投資”的な側面があると思っています。
順張り投資は大きく勝つというよりは損失を抑えつつトレンドが継続する分だけ利益を得る手法です。
一方で逆張り投資は”攻めの投資”とも言えます。
株価が安くなった時に購入するため、最初は含み損の期間が続きますがその分トレンド転換して株価が上昇した際は大きなリターンを得ることができます。
また順張り投資は割高な株価で購入することも多いので必ず損切りラインを設定しましょう。
逆張り投資で大事なのは指標に対して『割安』である株に投資することです。
これらのルールを無視して投資すると順張りであれ逆張りであれ大きな損失を出してしまう可能性が高くなります。
このようにそれぞれの投資手法によってメリット・デメリットがあるので自分のリスクの許容範囲でうまく手法を使い分けるのが良いと思います。
それでは今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。