こんにちは。医師で投資家のジョーです。
皆さんはテクニカル分析についてどのような印象を持っていますか?
『テクニカルはデイトレードの人が使うもので長期投資では意味ないよ‼』
『ファンダメンタルズ分析さえやっておけばテクニカル分析は不要だよ‼』
意外とこのような意見の人も多いのではないでしょうか?
僕も株式投資を始めた当初はまさにその考えでした。
企業分析のみ見ていればテクニカル分析なんていらないと思っていました。
でも投資を続けていくうちに色々テクニカル分析の重要性に気づき、今ではファンダメンタルズ同様にテクニカル分析も重要視しています。
またテクニカル分析のとっつきにくい理由の1つとして数多くの分析方法があることで、どのテクニカル手法を使えばいいのかわからないということがあると思います。
確かにデイトレードであれば1日中チャートに張り付き、色々なテクニカル手法をを使う方も多いと思います。
しかし資産形成などの長期投資におけるテクニカル分析は使用するツールはは限られています。むしろテクニカル分析を多用することは判断能力が鈍るのでオススメできません。
今回はテクニカル分析が重要である理由と、誰にでもできる押さえておきたいテクニカル分析を3つお話しします。
この記事を読むことで株の購入判断や買い増し、利益確定タイミングなど長期で株式投資で必要なテクニカル分析のスキルを身に着けることができるようになります。
それではよろしくお願いします。
目次
テクニカル分析が重要である理由
テクニカル分析とは投資家の心理状況を図る『ものさし』
テクニカル分析は過去の株価の動きを元に銘柄の現在のトレンド方向や需給状況など投資家の心理を直に示してくれる指標です。
株価は以下の計算式で示されます。
株価=EPS(1株純利益)×PER(株価収益率)
EPSについては企業業績に直結する項目なので(会社の実力)、主にファンダメンタルズ分析に軍配が上がります。
一方でPERは投資家の期待度(心理)を表す指標です。
よってテクニカル分析を行うことで投資家の群集心理を予測し、期待度が高まるポイントを把握することができます。
基本的には以下の手順で投資を行うのをお勧めします。
ファンダメンタファルズ分析で購入する銘柄を決める
テクニカル分析で新規購入や買い増し、売却タイミングを決める
このようにファンダメンタルズ→テクニカルの順番で株取引を行うことで『客観的』に株式投資を行うことができるようになります。
株式投資において『感情』ほど無駄なものはないですからね(笑)
この順番通りに株式投資を行うことで、ファンダメンタルズはいいのに何故か株価が右肩下がりの銘柄に永遠と買い増しを続けて大きく損をすることもなくなります。
自分の資産を守るという意味でもテクニカル分析は重要です。
テクニカル分析を使用する場面
先述の通り、まずはファンダメンタルズで銘柄を選んだうえで以下の場面でテクニカル分析を行います。
・購入タイミング
・買い増しタイミング
・利益確定や損切りタイミング
株式投資では銘柄選びと共に購入タイミングや売却タイミングによってパフォーマンスが大きく変化します。
特に購入タイミングに関してはただ株価が安くなったから買うという方も意外と多いのではないのでしょうか?
このように感情的に株を購入してしまうと、いくら資金があっても足りなくなります。いわゆる「ポジポジ病」ですね。
僕の経験上、安いと思って買った株はさらに下がることが多いので、結局買い増ししたくても資金がなく塩漬けになるか損切りするケースが多いです。
そこで株の売買判断時にテクニカル分析を用いることで、客観的に無理なく株式投資が行えるようになり、結果的にリスク軽減にもなるのです。
では次からは僕がこれだけ抑えれば80点の投資ができると思う誰でも実践可能なテクニカル分析の方法についてお話します。
長期投資でも押さえておきたい3つのテクニカル分析
ここで大事なことを先に1つ伝えておきます。それは、
『テクニカル分析は多用せず最小限にとどめる』ことです。
なぜなら数多くのテクニカル分析を使用するとそれだけ判断材料が多くなり、本当に買いたい時に買えなくなってしまう可能性があるからです。
そこで今回は簡単だけど効果絶大なテクニカル分析である以下の3つを紹介します。
- トレンドライン
- 移動平均線
- 出来高
それでは1つずつ見ていきましょう。
トレンドライン
まずはローソク足を見て自分でトレンドラインを引いてみましょう。
トレンドラインには大きく『抵抗線』と『支持線』があります。
<抵抗線>
- 上昇トレンドにおいて、その上方に位置する値動きを制限するラインのこと
- 株価が抵抗線に近くなると上昇する力が弱まり株価が反転する可能性が高くなる
<支持線>
- 株価が下落している際に株価下落を抑制するラインのこと
- 株価が支持線に近づくと下落する力が弱くなり、株価が上昇に転じる可能性が高くなる
抵抗線は株価の高値の点をつないだ線、支持線は安値の点をつないだ線になります。
よって基本的な戦略は以下の通りとなります。
抵抗線の近くで売る
支持線の近くで買う
以下のチャートをごらんください。
(引用:株探,MS&AD週足チャート)
これは大手損保会社であるMS&AD(8725)の週足チャートになります。きれいな上昇トレンドが継続していますね。
ではこのチャートを見て皆さんはどこで購入すればいいと思いますか?
ここで抵抗線・支持線の出番になります。このMS&ADのチャートに抵抗線・支持線を加えたものが下のチャートになります。
このような抵抗線・支持線を引くことによって以下の戦略をとることができます。
- 支持線に近づいたら新規購入または買い増しを行う
- 抵抗線に近い付近の株価では購入は控える、または一部利益を確定する
このようにただ株価だけを見て売買をするのではなく、抵抗線や支持線を見ることで客観的に、そして安全に投資を行うことができます。
またこの手法は上昇トレンド銘柄だけではなく株価がヨコヨコのレンジ相場でも効果を発揮します。以下のチャートをご覧ください。
(引用:株探,日経平均週足チャート)
ことらは日経平均の週足チャートになります。去年から今年にかけてレンジ相場を形成しています。
このチャートに抵抗線と支持線を加えたのが以下のチャートになります。
日経平均はこの1年は26000~28000円のレンジ相場だったので長期投資で持ち続けているだけの人はそこまで利益が出ていなかったのではないでしょうか?
ただこの抵抗線・支持線を見て26000円近くで買って28000円付近で売却、そして再度26000円近くで再度購入することを繰り返した人はレンジ相場でもある程度の利益を出せたと思います。
このようにトレンドラインを引くことは最も簡単なやり方なのでぜひ試してみてください。
以上が一般的なトレンドラインのセオリーになりますが例外があります。
これは超重要事項なのでぜひ覚えておいてください。それは以下の2つです。
- 株価が抵抗線を大きく上に突き抜けた場合、株価はさらに上昇する可能性が高い
⇒株価の上昇に勢いがつき新たな上昇トレンドが形成される - 株価が支持線を(大きく)下に突き抜けた場合、さらに株価は下落する可能性が高い
⇒下落トレンドに変わる
頭が混乱してしまうかもしれませんが、基本的に株価はトレンドラインに沿って動くことが多いです。
しかし抵抗線・支持線を大きく突き抜けた際は突き抜けた方向に株価のトレンドが新たに形成される傾向が強いのです。
よって抵抗線を大きく突き抜けた株は新たな上昇トレンドを形成し、そして支持線を大きく突き抜けた株はさらに下落しそのまま下落トレンド入りをする可能性が高いのです。
以下のチャートをご覧ください。
(引用:株探,日本製鉄週足チャート)
こちらは日本製鉄(5401)の週足チャートになります。見ての通り1年ほどレンジ相場が続き今年から株価が急上昇しているのがわかります。
日本製鉄の週足チャートにトレンドラインを追加したのが以下のチャートです。
このように抵抗線を上に大きく突き抜けると株価はさらに上昇することで、新たなトレンドラインが形成されていきます。
移動平均線
次は移動平均線です。この移動平均線も僕は株の売買判断の時に重宝する指標です。
<移動平均線>
- ある一定期間の株価の終値の平均値をつないだ線のこと
- 例えば5日移動平均線だと5日間の終値の平均値をつないだ線になる
- 移動平均線には短期移動平均線(5日移動平均線や25日移動平均線)と長期移動平均線(200日移動平均線や52週移動平均線)など様々な平均線が存在する
- 基本的には短期投資であれば短期移動平均線を、長期投資であれば長期移動平均線を参考にする
また長期短期目線以外にもそれぞれの株のチャートでどの移動平均線に沿って株価が動いているのかが異なります。
移動平均線を参考に株取引を行う場合、以下の手順がお勧めです。
- ファンダメンタル分析で投資銘柄を決める
- 様々な移動平均線を表示させ、どの移動平均線が大事なのかを判断する
- 重要な移動平均線のライン近くで銘柄を購入、利益確定、損切り判断をする
では実際のチャートを見ていきましょう。以下のチャートをご覧ください。
(引用:株探,イントラスト日足チャート)
これは総合保障サービス会社のイントラスト(7191)の日足チャートになります。
ここに示されている移動平均線は上から25日、75日、200日移動平均線です。
見てもわかる通りイントラストの株価チャートは25日移動平均線をサポートにきれいな上昇トレンドを形成していることがわかります。
よってこの場合参考にする指標は25日移動平均線となります。
そして考えられる投資戦略は以下の通りです。
- 25日移動線付近で新機購入または買い増しを検討する
- 購入後すぐに25日移動平均線をある程度下抜けたら損切りを行う
- 購入後にしばらくして再度25日移動平均線にタッチしたら利益確定もしくは買い増しを検討する
- 25日移動平均線よりもかなり高い位置になった場合は利益確定をする
このように25日移動平均線を用いた取引では比較的短中期目線で移動平均平均線を指標に売買判断を行うことができます。
特に移動平均線は損切りラインの指標にも有用なので、移動平均線を意識した取引を行うことで大きな損失を被ることも少なくなります。
ではもう1つの銘柄のチャートも見ていきましょう。
(引用:株探,プレミアグループ日足チャート)
こちらは中古車オートクレジットなどを手掛けるプレミアグループ(7199)の日足チャートとなります。
この日足チャートを見る限りでは株価は下落基調で、すべての移動平均線よりも株価が下に位置しているので、移動平均線自体が参考にならないチャート形状をしています。
ただし週足チャートでは全く見える景色が変わってきます。
(引用:株探,プレミアグループ週足チャート)
見ての通り週足チャートはきれいな上昇トレンドを描いており、何度か52週移動平均線を押し目に反発していることがわかります。
今現在ちょうど52週移動平均線付近に株価が位置しているので絶好の押し目買いポイントになる可能性があります。
このように株によってはチャートの表示期間を変えることで短期では微妙でも長期チャートでは絶好のテクニカルポイントを発見できることがあります。
皆さんも気になった株は様々な時間軸のチャートを確認して絶好の購入タイミングを検討することをお勧めします。
出来高
最後は出来高です。
出来高とはその日に取引された株式の売買枚数のことを指しており、出来高が多ければ多いほど活発に株取引が行われていることになります。
出来高で注目することは以下の2点です。
- 普段よりも出来高が急増している
- 出来高を伴って直近の株価高値を更新している
この2点がそろったときに株価が一段と上昇する可能性が高いです。
以下のチャートをご覧ください。
(引用:株探、三菱UFJ日足チャート)
これはメガバンクの三菱UFJの日足チャートになります。
2022年12月20日に日銀が10年国債の買い付け基準を修正したことから、三菱UFJの株価は出来高を伴って大きく上昇し、その後上昇トレンドを継続しています。
ではこのようなチャートはなぜ上昇を続けやすいのでしょうか?
それは投資家の心理状況を想像すれば理解できます。
皆さんは株価が最も上昇しやすい状況ってどんな時だと思いますか?
それは『負けている投資家がいないとき』です。
その状況がまさに出来高を伴って株価が急増したときになります。
この状況では以下のような動きが起こります。
<第一段階>
高値を更新することで負けている投資家がいなくなる
<第二段階>
今まで含み損だった投資家が高値を更新した段階で含み益がなくなるので株を売却する
⇒握力の弱い投資家がいなくなる
<第三段階>
株価が上がっているので新規参入する投資家が増える
<第四段階>
第二第三段階の影響で出来高が増える
⇒投資家の新陳代謝が起きる
<第五段階>
握力の強い投資家と新規参入投資家のみが残り、みんな含み益の状態なので株価が下がりにくく上昇トレンドをを継続しやすくなる
このように高値を更新することで投資家の新陳代謝が起こり、投資家の心理状況が一変することで上昇トレンドが継続しやすくなるのです。
よって出来高を伴って上昇した株を見つけた際は、チャートを追いながらトレンドラインや移動平均線などを駆使してタイミングがいい時にエントリーしてみましょう。
まとめ
今回は誰でもすぐに実践できるテクニカル分析についてお話しました。
テクニカル分析は初心者の方はどれを使ったらいいか悩むことも多いと思いますが、今回紹介した3つのテクニカル分析さえ理解できれば普段の売買判断には困らないと思います。
最後にテクニカル分析について1つ注意点があるのでお話します。
それは
あくまでファンダメンタル分析をメインで考えて投資するということです。
いくらテクニカル的に買い時であったとしても、当初期待していた企業業績が悪化した場合は株価もテクニカル指標に関係なく下がるので、その時はファンダメンタル分析を必ず優先しましょう。
あくまで株価は長期で見ると企業業績に連動するものなので、企業業績(ファンダメンタルズ)を主眼に投資するのが鉄則となります。
ファンダメンタルズ的に投資適格だと判断して初めて購入タイミングなどを決めるためにテクニカル分析を使うのがセオリーです。
僕はテクニカル分析はファンダメンタル分析で見つけたいい銘柄を最適な株価で購入できるようになる補助ツールの役割だと思っています。
また慣れてくればテクニカル指標とPERなどのファンダメンタル指標などを融合して考えることで『割安でかつテクニカル的にも絶好の買い場』を見つけることもできます。
PERの考え方については以下の記事で詳しく参考にしているので良ければ合わせて読んでください!
最後にこのブログでは企業業績が良い企業にテクニカル分析を駆使して株価のトレンドに沿った投資を実際に僕が行っている企画『順張り株式投資日記』を発信しています。
このシリーズを読むことで、普段僕がどのような企業に投資しているのか、どのようにテクニカル分析を使用して投資を行っているのかがわかるのでぜひ『順張り株式投資日記』の方も読んでください!
<元本200万からの『順張り株式投資日記』始めました!>
https://drjoe-blog.com/stockdiary1/
それでは今回は以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!