こんにちは。医師で投資家のジョーです。
さて皆さんは普段どのようにして新規投資銘柄を見つけていますか?
今ではYouTubeやTwitterなど様々なSNSで色々な株の情報が得られるようになっているので情報収集の方法は人それぞれだと思います。
ただそんな中で会社四季報は全上場企業の決算情報が全て確認することができ、四季報ならではの情報もあるので僕は普段新規銘柄を発掘するためのスクリーニング目的で使用しています。
会社四季報は将来自分の資産を増やしてくれる金の卵を発見するための宝の地図みたいなものです。
そこで今回は会社四季報をおすすめする理由と会社四季報の実際の使い方について説明していきます。
この記事は以下のような悩みを持っている方には特にオススメなので是非最後まで読んでくれたら嬉しいです。
- どのような株を買えばいいのかわからない
- SNSなどで話題になっている株しか買ったことがない
- 監視銘柄数を増やして多くのチャンスを掴みたい
会社四季報は電話帳みたいに厚くて読むのが面倒臭いと思っている方も多いのではないでしょうか?
でも四季報は見るべきポイントさえ掴めれば意外とスイスイ読めるものなので、この記事を読んで『金の卵のストック』を増やしましょう!
それではよろしくお願いします。
目次
会社四季報を活用するメリット
『会社四季報』は日本の全上場企業の財務諸表や業績情報はもちろんのこと、今後の企業の展開などの定性的評価も記述されており、多くの株式投資家に使用されています。
四季報を利用することでまだあまり注目されていないお宝銘柄を発掘することもできるかもしれません。
僕も実際に毎回必ず四季報は読むようにしていて、今まで数多くの新規銘柄を発見したことで大きな利益を享受してきました。
ではこの四季報は他の投資本と何が違うのか?
僕は会社四季報を活用するメリットに大きく以下の3つがあると思っています。
- 全上場企業を1冊でスクリーニングできる
- 今期だけではなく来期の独自業績予想も確認できる
- 四季報独自の定性評価をしている
では1つずつ見ていきましょう。
全上場企業を1冊でスクリーニングできる
成長株投資で大きな利益を得るには2つの要素が必要になります。
- いい銘柄をたくさん知っていること
- 割安であること
成長株投資で長期で大きく利益を得るためにはまず『いい銘柄をたくさん知っている』ことが大事になります。
いい銘柄とは成長株投資の場合、毎年増収増益を達成している会社などが挙げられます。
ただしいくらいい銘柄を知っててもそれだけで大きな利益を得ることはできません。
なぜなら業績の良い会社の場合、株価もすでにある程度上がっていることも多くそこまで投資妙味がないことが大半だからです。
そこで大事になってくるのが指標的に割安である株を選ぶことです。割安でかついい銘柄であれば株価の大きな上昇が期待できる可能性は高くなります。
なのであらかじめ『いい会社』を何社か監視銘柄としてストックしておいて、指標的に株価が割安になった段階で株を購入します。
この手順を行う上で最も役に立つのが会社四季報です。
会社四季報であれば全ての上場企業の過去や将来予想の業績がコンパクトに掲載されています。
また割安度を測る指標にPER(株価収益率)がありますが、四季報では各個別株の過去3年間のPERの高値安値が掲載されているのでこれらを確認することで割安度をスクリーニングすることもできるのです。
今期だけではなく来期の独自業績予想も確認できる
会社の業績予報は会社の決算短信や証券会社のアナリストなど、会社四季報以外にも独自で予想を出していることが多いです。
ただその予想は大体が今期(今年度)の予想のみとなっています。
一方で会社四季報は今期予想のみならず来期の予想も掲載されており、2年分の業績予想を確認することができるのです。
もちろんこの予想が100%当たるわけではありませんが、株価は未来の業績を織り込んで形成されていくものなので、今期→来期と業績が拡大予想となっている企業は長期投資家としては期待が持てます。
四季報独自の定性評価をしている
定性評価とは売上高や利益などの数字では表すことができない会社の魅力や将来性をを評価することです(利益など数字で表すことができる評価を定量評価と言います)。
〈株式投資の定性評価とは〉
- 企業の経営状況や将来の見通し、マクロ経済環境などの要因を考慮してその企業が将来的に成長するかどうかを評価
- 定性評価は定量評価と併用することで、より精度の高い投資判断ができるようになる
- ただし定量評価とは異なり主観的な評価となるので、各々の投資家で判断結果が大きく異なる可能性があることがデメリット
例を挙げるとその会社のビジョン、競争優位性、マーケティング戦略、社会的・環境的問題に対する取り組みなど、その会社の業績事態に影響を与える可能性のある事象が四季報では確認することができます。
この定性評価は他のアナリストレポートや企業の決算短信でも確認することができますが、これらの資料は枚数も多く全て読むことはなかなか大変です。
一方四季報であればこの定性評価の文章は数行程度程度で内容も要点のみまとめられているのでスクリーニング目的であれば四季報の定性評価を読む方が効率がいいです。
この後詳細なスクリーニング方法は説明しますが、四季報スクリーニングで気になった銘柄があればまずは四季報の定性評価の部分を読むことをお勧めします。
さらに詳しい企業情報が知りたくなった際は決算短信やアナリストレポートを読むのが良いでしょう。
以上が会社四季報を使用する主なメリットになります。
では次からは実際に会社四季報を使って監視銘柄を1つでも多くストックするためのスクリーニング方法についてお話ししていきます。
会社四季報を使った銘柄スクリーニング方法
では実際の会社四季報で将来の割安成長株候補をスクリーニングする方法について説明します。
以下の4STEPです。
〈STEP1〉
売上高・営業利益・EPSが昨年度・今年度・来年度に向けて順調に上がっているかを確認する。営業利益率を計算する
〈STEP2〉
ROEを確認する
〈STEP3〉
PERの水準を確認する
〈STEP4〉
定性評価の部分がポジティブな内容であることを確認する
この4STEPをおこなって自分独自の監視銘柄リストを構築していきましょう。
では1つずつ見ていきます。
<STEP1>売上・営業利益・EPS・営業利益率を確認する
今回はソフトウェアのテスト受託事業を主軸に成長しているSHIFT(3697)を例に解説していきます。以下が2023年新春号のSHIFTの会社四季報の掲載情報です。
(引用:会社四季報2023年新春号より)
と思われた方も多いのではないでしょうか?
でもご安心を!
確認する個所は限られているので順番に説明していきます。
まずはSTEP1です。見る個所は以下の場所です。
ここで昨年度・今年度・来年度の売上高、営業利益、EPS(1株益)を確認して営業利益率(営業利益/売上高)を自分で計算します。
成長株投資の場合、売上高と営業利益が未来に向けて経時的に増加していることが会社の成長において非常に重要となります。
またEPSは株価に直結する要素(株価=EPS×PER)なので当然軽視できません。
営業利益率が高いとそれだけ効率よく利益を出していることになるのでこの指標も重要です。
僕は以下を数値目標としてSTEP1でスクリーニングをかけています。
- 売上高:年15%以上増加
- 営業利益・EPS:年20%以上増加
- 営業利益率:10%以上
僕は普段成長株投資を行うにあたって1つの目標を定めています。
それは『3年で株価2倍になる可能性がある株に投資をする』ことです。
株価はEPS×PERで計算できるのでPERが一定であった場合、EPSが年20%以上で成長する株を選べば理論的には3年で2倍近くの利益を享受できることになります。
よって営業利益・EPSに関しては年20%以上の上昇が期待される株をスクリーニングしてます。
その他売上高の伸びも成長株投資には必須の要素なのでここは利益より少ない15%以上の伸びを基準としています。
営業利益率に関しては業種にもよりますが最低でも10%以上あれば平均以上の会社なので僕はこの値を採用しています。
ちなみにSHIFTは売上高増加率32%、営業利益増加率35%、EPS増加率28%、営業利益率11%であるためSTEP1の基準をクリアしています。
<STEP2>ROEを確認する
次はROE(自己資本収益率)を確認します。
ROEは自己資本に対してどれだけ利益出せているかを表す指標で、ROEが高いほど効率よく利益を出せている企業(高収益企業)となります・
ROEはEPSと同様に株式投資家の中で最も注目されている指標の1つです。高ROE企業はそれだけ利益を積み上げるポテンシャルのある企業なのです。
ROEに関しては以下の記事で詳しく説明しているので合わせて読んでみてください。
ROEは四季報では以下の場所に記載されています。
SHIFTでは昨年は20.7%、今年度は25.4%と高ROEを維持できています。
日本企業の平均ROEが8%ほどと言われているのでSHIFTがいかに収益性の高い企業であるかがわかります。
僕はROEの基準として15%以上をスクリーニングの基準としています。
15%以上の基準は世界一の投資家であるウォーレン・バフェットが基準にしている数字です。
ROEが低すぎるとそれだけスクリーニング銘柄も多くなってしまうので、僕はこの数字を採用しています。
<STEP3>PERの水準を確認する
STEP1.2では『いい会社』をスクリーニングするためのものです。
ただし先述の通りいい会社を買うだけでは大きな利益を得ることはできません。
大事なのはいい会社を比較的割安な株価で購入することです。
そこで成長株の割安さを判断するのに役立つ指標がPER(株価収益率)になります。
会社四季報では過去3年間における高値PERと安値PERが記載されているので現在のPERが安値PER付近であれば比較的割安感があることになります。
SHIFTの場合高値PERが129倍、安値PERが57倍なので、現在のPERが安値に近い値であれば割安である可能性があります。
このPERを使った割安の判断は普段僕もよく使っていますが、1点だけとても大事なことを追記します。
それは会社の純利益が上がればPERは下がるということです。
PERは以下の計算式で表されます。
PER=株価÷EPS
よって分母の純利益が上がればPERは下がることになるのです。
今回みたいな経時的に純利益が拡大している成長株のスクリーニングを行う際には問題ないのですが、ある分野の株ではこの投資方法が仇となる可能性があります。
それは『景気敏感株』です。
自動車や半導体、銀行、不動産、製造業などが景気敏感株と言われています。
景気敏感株は景気サイクルの沿って利益が変動するので、景気のいい時は利益が伸びて景気が悪い時は利益が大きく落ちます。
よって景気敏感株は利益が伸びている時(株価が上がりやすい時)はPERは低くなる傾向にあるのです。
逆に利益が少ないとき〔株価が下がりやすい時〕はPERは高くなる傾向になるので、成長株投資ではなく景気敏感株に投資する際はPERで投資判断を行わないことをお勧めします。
<STEP4>定性評価がポジティブな内容であることを確認
最後は定性評価の部分の確認です。ここでは記載されている内容がポジティブな内容であるかを確認します。
四季報では以下の部分に記載されています。
定性評価は前半部分に直近の内容が。後半部分に中長期的な内容が記載されています。
SHIFTの定性評価は以下の通りです。
<直近の内容>
- 【絶好調】→ポジティブ
- 柱の品質保証が成長をけん引→ポジティブ
- 前下期発生の不採算案件の影響は上期で終息→ポジティブ
- 営業利益の成長続く→ポジティブ
<中長期的な内容>
- 採用強化→現時点ではわからない
直近の内容は概ねポジティブ要素が多く好印象です。
中長期的な内容は人員を増員することが記載されていますが、これに関しては現時点ではどちらともいえない判断となります。
人員増によって売り上げや利益率の向上につながるのであればポジティブ、人員増に伴い結果的に費用が増えるだけの結果になるのであればネガティブになります。
ただ総合的に見ればポジティブな内容が多いのでスクリーニングとしては問題ないでしょう。
このようにSTEP4で定性評価の記事を読んでポジティブな内容が多ければ監視銘柄として採用、ネガティブな内容が多ければ採用を見送るといった感じで判断します。
また株は未来の期待度が高ければ高いほど上がりやすいので直近よりも中長期的な定性評価のほうがもちろん大事です。
四季報でスクリーニングした後にやるべきこと
以上が会社四季報を使った銘柄スクリーニング方法となります。
このスクリーニングを行うことでおそらく自分だけの数十銘柄の監視銘柄リストが完成するはずです。
ただこの監視銘柄リストのすべてが投資適格かどうかはわかりません。
おそらくは実際に投資するのは数銘柄になると思います。
最後に四季報でスクリーニングを行った後にやるべきことをお話します。それは以下の3点です。
- 企業の決算短信や決算説明資料、中期経営計画などを読んで投資適格かを判断する(詳細な企業分析)
- 理論株価を自分で算出する(理論株価に対する割安さの判断)
- 理論株価から見て割安な株価ラインをチャートを見て判断してエントリータイミングを決める(購入タイミングの検討)
会社四季報は監視銘柄を発掘するためのツールに過ぎないので、四季報で見つけた監視銘柄についてはさらに詳しく調べたほうがいいと思います。
調べることは主に『詳細な企業分析、理論株価に対する割安さ、購入タイミング』です。
この3つの条件が揃った監視銘柄が最終的に投資する株になります。
詳細な企業分析
四季報からスクリーニングされた監視銘柄は実際の企業の決算書を読んでみましょう。
特に決算短信の定性評価の部分は会社四季報より詳しく記述されているので読むことをお勧めします。
決算説明資料は決算内容が綺麗なグラフなどで示されているので比較的読みやすく初心者の方にはおすすめです。
企業によっては決算説明動画を配信しているところもあるので動画がある際は確認しましょう。
また企業の中には3-5年ほどの企業の経営目標を示している『中期経営計画』を発表している会社もあるのでそちらもチェックしてみてください。
これらの企業分析を行ったうえで投資適格だと判断したら次は理論株価を自分で計算しましょう。
理論株価に対する割安さの判断
利益面や成長面から将来予想される理論株価を算出します。
その理論株価と比べて現在の株価が割安であった場合は最終的に購入を検討します。
理論株価の算出方法は以下の2記事で詳細に説明しています。
購入タイミングの検討
ここまで来たら最後はどこの株価で購入するかを決めるだけです。
理論株価よりもどのくらい安い株価で購入したいのかを自分で考えて、最終的にはチャートを見ながら購入タイミングを判断します。
株はチャートの形状で買われやすい場面・売られやすい場面があるので、最終的にはテクニカル分析を用いて購入タイミングを判断することをお勧めします。
このブログでは初心者でも気軽にできるテクニカル分析についても説明しているので合わせて読んでくれたらうれしいです。
まとめ
今回は会社四季報を使用した銘柄スクリーニング方法についてお話ししました。
僕は監視銘柄の数が多ければ多いほど投資チャンスが増えると考えています。
その監視銘柄を全上場企業から効率よくピックアップするのに最適なのがが会社四季報です。
会社四季報で監視銘柄を増やし、その中から指標的に割安でチャート的にもタイミングが良い株に投資することで株式投資の勝率は上がります。
株に必勝法はありませんが、勝つ確率を上げる方法はあります。
その勝つ確率を上げる方法を模索していくのが株式投資の醍醐味で、その1つが四季報を使たスクリーニングです。
皆さんも独自の投資法があると思います。
もし今回の記事を読んでよかったなと思ったら、ぜひこの方法も試してみてください。
もちろん利益増加率やROEの値は各々で修正して問題ありません。
数字は厳しくすれば監視銘柄数は減り、ゆるくすれば監視銘柄数は増えるので自分に管理できる監視銘柄数に合わせて調整するのもありだと思います。
そしてその中から本当に光輝いている『金の卵』に勇気をもって投資しましょう。
時間はかかるかもしれませんがその『金の卵』が将来皆さんの資産増加に寄与してくれることを期待して今回の記事のシメとさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!