銘柄分析

株価急上昇のスポーツ用品銘柄を徹底比較【円安・インバウンド関連株】

皆さんこんにちは。医師で投資家のジョーです。

今回はアフターコロナや円安、インバウンド需要により業績が急拡大している『スポーツ用品関連銘柄』について直近の決算内容も踏まえて分析していきます。

皆さんの周りにも最近健康意識が高まってランニングやジムなどを活用している人も多いのではないでしょうか?

今回のテーマはスポーツなのでこれから紹介する企業は聞いたことのある銘柄ばかりだと思います。

今回取り上げるのはバトミントンやテニスラケットなどをメインとするヨネックス(7906)ランニングを核とするスポーツシューズ国内最大手のアシックス(7936)、そして野球やゴルフなどのウェアやシューズを手掛けるスポーツ用品総合メーカーのミズノ(8022)です。

それぞれ得意とするスポーツ分野は異なりますが、どこもコロナ後のスポーツ需要増大で大きく株価が上昇しています。

 

なお、普段僕は新規銘柄を見つける際には会社四季報を活用しています。

会社四季報で銘柄をスクリーニングすることで監視銘柄が増えて、結果的に割安で成長性のある株に投資できるチャンスが多くなります。

以下の記事では四季報を使って監視銘柄を探すためのスクリーニング方法を説明しているのでよければ併せて見てください。

 

会社四季報を使って優良株を発掘する方法【投資方法】こんにちは。医師で投資家のジョーです。 さて皆さんは普段どのようにして新規投資銘柄を見つけていますか? 今ではYouTube...

 

それではスポーツ用品関連銘柄の分析をしていきましょう。

 

ヨネックス(7906)、アシックス(7936)、ミズノ(8022)の株価指数と会社業績の比較

 

3社の株価指数と財務状況の比較

 

まずは3社の2023/8/10時点での時価総額や株価指標、財務状況は以下の通りです。

 

 

最も時価総額が高いのはアシックスで1兆円に迫る勢いです。

また投資家の期待度の表れであるPERも37.9倍と残りの2社と比較してもかなり高い水準にあります。これだけ高く投資家に評価されている理由はあとで説明します。

一方で自己資本比率はヨネックスとミズノは60%ほどありますが、アシックスは40%ほどで現金有利子負債の割合も1を切っています。

財務面の安心感はヨネックスやミズノに軍配が上がるものの、言い方を変えるとアシックスは財務レバレッジをうまく活用して業績を拡大している企業とも言えますね。

あと注目なのがミズノの割安さです。

ミズノは今年度も順調に業績を伸ばしている一方でPBR0.85倍と低PBR株の側面も持つ銘柄となっています。

またPERも10倍と指標的には3社の中で一番割安です。

 

これらを踏まえた上で次に前年度の決算内容を見ていきましょう。

 

3社の業績の比較

 

以下の表が前年度の決算内容を比較したものになります。

数値は前年度の数字であり今年度の数字ではないことに注意してください(今年度の数字は後で説明します)。

 

 

コロナ後の経済活動再開と円安の影響もあり3社とも前期は大幅な増収増益です。

見ての通り売上規模でいうとアシックスがNo.1であり会社規模は一番大きいですね。

また営業利益率に関しては前期はヨネックスが9.3%と最も高い数字を出しています。

あと注目したいのが各会社の海外売上比率です。

現在市場は円安トレンドとなっているので海外売上割合が大きいとそれだけ為替による利益が伸びることになります。

アシックスは脅威の80%とほとんどが海外売上となっている一方でミズノは現状半分以上が国内での売上となっています。

 

以上が3社の大まかな比較となります。

売上が多く市場で最も評価されているのがアシックス、そして業績は悪くないもののまだまだ割安感があるミズノといったところでしょうか。

では次から各企業のビジネスモデルと今年度の業績予想、そして現段階での業績の進捗率を見ていきましょう。

 

ヨネックス(7906)の事業内容と今期の業績・進捗状況

 

ヨネックス(7906)はバトミントン用品世界最大手でその他テニスラケットでも有名な会社です。

バトミントン人口の多い中国・東南アジア・日本での売上が多いのが特徴です。テニスラケットは主に欧州や日本がメイン市場となっています。

なお海外売上が約70%と高いのも特徴です。

 

以下がヨネックスの過去の売上と営業利益の推移となります。

 


(引用:マネックス証券銘柄スカウター)

 

見ての通りコロナ後に業績が急拡大しているのがわかります。

 

ではヨネックスの今年度予想と現時点(第1四半期決算)での業績の進捗率を見ていきましょう。

ヨネックスの今期業績予想と進捗率

 

以下がヨネックスの今年度業績予想と第1四半期時点での進捗率です。

 

 

ヨネックスの今期予想は増収増益も共に1桁台の増加予想となっており、前回5月の本決算後に株価は下落基調となっています。

さらに2023/8/9に第1四半期決算を発表しており、売上高は前第1四半期と比較して増加も営業利益が2桁減益となり株価はさらに下落しています。

 


(引用:株探、ヨネックス日足チャート)

 

売上高については世界各地でのスポーツ需要が引き続き堅調で、第1四半期単体では過去最高となっています。

一方で宣伝広告費や人件費の増大などがあり、営業利益は減益となっています。

ただ進捗率については概ね基準となる25%を超えているので、個人的には通期予想に対して順調に進んでいる印象を受けます。少し売られすぎな印象を持っています。

去年の業績が良すぎた側面もあり、どうしても今年の業績が悪く見えてしまっている印象です。

またヨネックスの注意点として認識が必要なことが国内と海外法人で決算期にずれがあるということです

売上の7割を占める海外法人は日本法人よりも決算数字が3ヶ月前のものを使用しています。

 


(引用:ヨネックス決算説明資料より抜粋)

 

まとめると前四半期と比較すると業績が悪く見えるものの、決算の進捗は順調であり今度の円安トレンドを加味すると株価の戻りを期待して投資するのは1つの戦略としてありだと思います。

ちなみに株価は調整が続いていますが、週足チャートで見ると上昇トレンドは継続しています。

 


(引用:株探、ヨネックス週足チャート)

 

それではヨネックスのまとめです。

 

  1. 今年度の業績予想は前年度より控えめ(1桁増収増益予想)
  2. 第1四半期決算は前第1四半期と比較すると減益も、進捗率は問題なし(去年の業績が良すぎた)
  3. 海外法人の決算数字が3ヶ月のずれがあるので注意が必要(円安が進んでいるので次回の決算はいい数字が出るかも?)
  4. 株価は調整局面を迎えているが、週足チャートでは上昇トレンド継続。PER的にもそこまで割高感はない

 

それでは次にアシックスを見ていきましょう。

 

アシックス(7936)の事業内容と今期の業績・進捗状況

 

アシックス(7936)はランニングを中心としたスポーツシューズの国内最大手で日本と欧米をメインに最近では中国での販売も拡大しています。

海外売上比率は脅威の80%で今回の3社の中では最も円安効果が期待できる銘柄となっています。

アシックスの過去の売上と営業利益の推移は以下の通りです。

 


(引用:マネックス証券銘柄スカウターより)

 

アシックスもヨネックス同様にコロナ後に急速に業績が拡大しているのが特徴です。

 

では次にアシックスの今年度予想と第2四半期時点での進捗状況を確認していきましょう。

 

アシックスの今期業績予想と進捗率

 

以下がアシックスの今期予想と第2四半期時点での進捗状況です。

 

 

アシックスは今年度も2桁増収増益を予定しており、第2四半期時点で進捗率はかなり良い状況となっております。

特に純利益については既に通期予想をほぼ達成しており更なる上方修正は必発でしょう。

2023/8/8に発表された第2四半期ではインバウンド需要回復と製品の供給遅延解消により第2四半期としては過去最高の増収増益となっています。

特に国内と中国・東南アジアでの成長が目立ちますね。

インバウンド需要もかなり改善していることや、これから中国の団体旅行客数がさらに増えることを考えると更なる利益上乗せの可能性もあります。

ただ株価もそれに伴い上昇しており、現状のPERは38倍と3銘柄の中では突出して割高です。

仮に今後EPSが予想の2倍(可能性としてはありえます)で着地したとしても、PERは20倍弱なので既に株価は上昇修正ありの価格まで織り込んできています。

 

以下がアシックスの日足・週足チャートになります。

 


(引用:株探、アシックス日足チャート)

 


(引用:株探、アシックス週足チャート)

 

日足・週足共に見事な上昇トレンドを継続していますね。株価の勢いが一番あるのは間違いなくアシックスです。
(業績がいいので当然と言えば当然です)

 

ではアシックスのまとめです。

 

  1. 3銘柄の中では時価総額が一番大きく、売上や利益も大きい
  2. 今期予想も2桁増収増益予想。第2四半期決算もかなり良い進捗状況である
  3. PER38倍と割高感はあるものの、おそらく今後の上方修正は必発で株価はそれを織り込みにいっている
  4. 今後の円安と中国団体旅行客の増加が起きれば、さらなる業績拡大が見込める

 

それでは最後にミズノを見ていきましょう。

 

ミズノ(8022)の事業内容と今期の業績・進捗状況

 

ミズノ(8022)は野球・ゴルフを核として幅広いスポーツ領域を網羅し、主にウェアやシューズなどを手掛けるスポーツ用品総合メーカーです。

売上規模はアシックスに続き国内2位となっております。

海外売上比率は30-40%と他の2社と比較すると低いですが、米国や欧州、豪州などを中心に海外展開もしています。

 

以下がミズノの売上と営業利益の推移です。

 

(引用:マネックス証券銘柄スカウターより)

 

ミズノも他の2社同様コロナ後に売上・営業利益が拡大しているのがわかります。

結果、スポーツ関連銘柄はコロナ禍以降はとても業績がいいのです笑

では今年度のミズノの通期予想と第1四半期時点での進捗率を見ていきましょう。

ミズノの今期業績予想と進捗率

 

以下の表がミズノの今期業績予想と第1四半期決算内容、進捗率になります。

 

 

ミズノの今年度予想は売上高は+6.1%、営業利益は+15%と前期の業績の伸びと比較すると少し物足りないです(前期は売上高+22%、営業利益+31%)。

しかし先日(2023/8/8)第1四半期決算が発表され、売上高+23.8%、営業利益+40.8%と当初の期待以上の好決算となり翌日以降株価は急騰しました。

 


(引用:株探、ミズノ日足チャート)

 

主力のゴルフクラブの売れ行きが好調であったことや、円安の影響もありミズノも第1四半期単体では過去最高益となっております。

また通期予想に対する進捗率も高いことが株価上昇に寄与していると思われます。

そして何よりこの成長率にもかかわらず2023/8/10時点でPER10倍、PBRに至っては0.85倍と他の2銘柄と比べても指標的にかなり割安に放置されているのが特徴です。

成長面や割安面から見てもミズノの株価が上昇するのは納得ですね。

週足チャートでもしっかり上昇トレンド継続しています。

 


(引用:株探、ミズノ週足チャート)

 

それではミズノのまとめです。

 

  1. 今期予想自体は控えめも、第1四半期決算は抜群の内容で株価は上昇している
  2. 進捗率を加味しても今後の上方修正に期待できる
  3. 他の2社と比較して海外売上割合は小さい(円安メリット受けにくい)
  4. 他の2社と比較して指標的には明らかに割安(低PBR株)

 

まとめ

 

今回は『アフターコロナ』『円安』『インバウンド』のトリプルパンチで業績が急拡大している大手スポーツ用品関連銘柄を紹介しました。

今回紹介したヨネックス、アシックス、ミズノ共にコロナ禍後に業績が拡大して週足ベースでは3銘柄とも上昇トレンドを継続しています。

それぞれにポイントがあるので最後にまとめます。

 

【ヨネックス】
第1四半期が前期と比較して低迷しているため売られているが、進捗率自体は悪くないので第2四半期以降で良い決算内容が出れば大幅反転の可能性あり(3銘柄の中では一番逆張り投資的な銘柄)。

 

【アシックス】
成長率や通期予想に対する進捗率は3銘柄の中でNo.1。その分指標的にも割高感はあるもののさらなる上方修正も十分期待できるので順張り投資に向いている銘柄。逆に業績悪化した際は割高なので急落リスクがあり、損切りラインの設定は必要。

 

【ミズノ】
通期予想はそこまで高くないが、第1四半期は好決算。さらにPER10倍・PBR0.85倍と3銘柄の中では一番割安に放置されているので割安成長株やバリュー株の要素もあり。増配や自社株買いなどがあれば株価上昇の更なる起爆剤になる可能性も。

 

ヨネックスは逆張り銘柄、アシックスは勢いのある順張り銘柄、そしてミズノは割安に放置されている銘柄といったところでしょうか。

3銘柄共に上昇トレンドの銘柄なので面白い銘柄であることは間違いないですね。

個人的には割安感満載のミズノが好きですね笑

 

なお銘柄を購入する際に最低限のテクニカル分析の知識は必要です。

以下の記事では非常に重要で初心者でもすぐに実践できるテクニカル分析について説明しているので併せて読んでもらえたら嬉しいです。

 

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もちろん投資に絶対はないので、もし気になる銘柄があった際は自分でも銘柄分析をして、納得できればこれらのスポーツ用品関連銘柄の株主になってみてください。

今回の記事が皆さんの投資判断の参考になってもらえたら嬉しいです。

では今回は以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。